師匠のこと 出会い編
こんばんは。今出です。
ときどき、なぜ鍼灸師になったの? と訊かれることがあります。
あれこれの社会経験を経て、中年になってから鍼灸師を目指した私なので、なにか志があってのことと思われているようです。
正直に言うと、志なんてま~ったくありませんでした。
鍼灸師になろうかなと思った当時、私はシングルマザーでした。
昼夜、パートの掛け持ちなどして暮らしておりました。
養育費や実家の援助などありませんでしたが、なんとか暮らせてました。
が、ふと思いました。
「50歳過ぎたらパート先もなくなりそうやなぁ」
雇用にはどうしたって年齢の制限がついてきます。法的な縛りはなくても、実質、年齢制限ありみたいな感じで。
先々どうしようかなと思い始めた頃に、電車内の広告が目に入りました。
『学生募集!』
専門学校の広告です。
「ほ~ 鍼灸師になれる専門学校があるんや」
鍼灸師になるという選択肢は、それまでの私には欠片もありませんでした。
というか、鍼灸師の存在自体を失念しておりました。
そのぐらい私には遠い職業だったのです。
なのに、ふと目にした広告から
「鍼灸師になろうっかな~」
ほぼ気分で決めて、専門学校選びも住まいと職場の間にある学校、という条件だけで選びました。
だって通学定期が使えるんだもん。
もしその時、じっくりと学校選びをしていたら違う学校に通っていたと思います。
(母校には申し訳ないが、今、人にすすめるなら他校をすすめます)
けれど、縁とは不思議なもの。
なにげに選んだ学校で、鍼灸の師匠と出会えたのですから。
軽い気持ちで専門学校の鍼灸学科に入学した私ですが、
1年生の半ばには、ちょっと失望感がありました。
鍼灸師という仕事が選択肢になかった私ですが、東洋医学には関心がありました。
というか、多分めちゃ好きやったと思います。
自然治癒力とか、薬に頼らない治療とか、そんなのが好きだったんだと思います。
(これは妊娠・出産・育児の課程で関心を持ち好きになっていった)
でも、専門学校で学ぶ鍼灸は、なんか違うぞ感が強かった。
解剖生理学などを学ぶのは、国家試験科目だから当然と割り切れていたのですが、実技になると「こんなもんなん?」って、なんかわからないけど私が思う鍼灸じゃないな~と思ってたんです。
で、いろんな鍼灸院に行ってみたりもしました。
その頃は鍼灸整骨院でバイトしてましたが、そこでやってるような鍼灸は私には「やりたくない鍼灸」なのはわかってました。
かといって、どんな鍼灸がやりたいのかはわかりません。
どんな鍼灸がしたいのかがわからないから、いろんな鍼灸を受けて「これだ」と思えるものを探してた。
けれど、そう思えるものと出会えません。
そうこうしてるうちに2年生になりました。
2年生になってから新たに始まった実技の授業。
その授業の担当が、師匠でした。
師匠の授業は、臨床に即した実技がメインの授業でした。
やっと、初めて、実技らしい授業を受けました。
「これ! これやねん!」
私が求めていた鍼灸を見つけた。
そう思えました。
師匠は臨床家でもあり、鍼灸院をされていました。
初めての授業の終わりに、私は師匠の鍼灸院に予約を入れました。
お金を払って実際に治療を受けたい!
そう思えたからです。
これが私と師匠との出会いです。
真剣に学校選びをしていたら、出会えなかったかもしれません。
縁ってほんとに不思議でおもしろい。
師匠の授業は隔週。
週1で放課後のゼミがあり、それとは別に月に1回、日曜日に有料の研修会がありました。
そこで私は臨床に使える実技を学びました。
そして、学ぶに連れますます
「私のしたい鍼灸はこれだ!」
と確信していきました。
鍼1本でこんなことがおこるん? みたいなことが普通におこる。
ついていくしかないでしょ。
もう私もええ年になってましたから、あれこれ迷ってる暇がないというのもありました。
ついていくと決め、あとは盲信。
師匠のやり方をそっくりそのまま受け入れる。
そんな感じでようやく私は鍼灸師としての将来が見え始めてきたのでした。
続く
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